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コト-人から生まれるコト

木とアルミ

木とアルミ

mother toolのプロジェクトの象徴ともいえる取り組みです。
どれ一つとして同じ表情のない天然の木材と、工業製品の代表
アルミのマリッジ。
生まれも育ちも全く違う素材が出会い、それぞれの良さを引出し
あうことで、選ぶことも楽しくなるアイテム達が誕生しました。

mother toolのある群馬県邑楽町のお隣、足利市はやかんの産地ということもあり、特にアルミの
やかんやなべにまつわる部品加工の会社が集中しています。
戦時中、群馬県太田市にある中島飛行機(現富士重工業)向けのアルミ部品を加工していた工場が
多かった栃木県足利市。
戦後はやかんや鍋などの日用品の一大産地となりました。
時代が変わり現在は建築資材・自動車部品などのなどの加工をしている産地です。
その背景を活かしたものつくりを進めてゆきたい、近隣のアルミ加工をしている工場を訪ねて
いくことでmother toolの最初の木とアルミプロジェクトが始まりました。

●つくり手

山岸工業所 栃木県足利市

中島飛行機が戦闘機を作り始めた頃、足利にヘラ絞りの技術は入ってきたそうです。
そしてやかんの産地へと変わり、やかんや鍋などの日用品を絞る職人さんがたくさんいましたが、
大量生産へ移行していく中で機械での絞り加工や海外生産になり、職人さんの数も激減しました。
ヘラ絞りという技術は丸い平面状の金属板を回転させながらヘラと呼ばれる棒を押し当てて、
少しずつ変形させていく手法です。
はじめてヘラ絞り職人山岸さんに会って、アルミの円板をするすると魔法のように絞っていく姿を
間近でみたとき、感動して涙がでてきました。
2次元から3次元の形が生まれる瞬間。
しかも、大きな機械でつくるのではなく、全て職人の手による1個単位の作業です。
その精度は誤差0.1mmという単位。熟練の技の極みです。とにかく一目見て、虜になりました。
mother toolの最初の製品となったbocconcinoを始め、rock・boccaのアルミ部分は山岸さんの
魔法の手でひとつひとつ、つくられています。


丸信金属工業  栃木県足利市

丸信金属工業ではアルミのプレスや曲げなどの板金加工・アルマイト処理などをしています。
山岸工業所では表面処理の加工が出来ないため、絞ってもらったパーツにアルマイト処理を
かける工場として紹介してもらいました。
アルマイト処理とは、電極を通した酸性のアルマイト槽にアルミをつけて酸化皮膜をつくることで、
意図的に少し錆びさせてそれ以上錆びない処理を行う表面処理の事です。
槽をでたパーツは釜で圧力をかけます。
きゅっと毛穴が締まるようにアルミの表面にある目に見えない細い穴を蒸気で引き締め表面処理の
完成です。
釜から湯気の立ち上る姿は圧巻です。
ここでは表面処理だけでなく、プレスの技術を活かした開発に協力をしていただきました。
定番に育ったPENDEを始めmother toolのアルミアイテムの多くはこの工場にお願いしています。


テーブル工房kiki  徳島県徳島市

徳島県は鏡台や仏壇など、木工の盛んな地域です。
そんな徳島のこの工房との出会いがなかったら、山岸工業所のヘラ絞りも丸信金属工業の
プレス・アルマイト加工も一緒に取り組むことができませんでした。
テーブル工房kikiはもともと無垢の天板を製造している工場でしたが、その端材で小物なども
作っています。
大きな天板製造と小さな小物製造という対極にあるような製品を、全て現場の工夫で楽しく
作り上げてゆきます。
魅力はなんといっても樹種の多さです。
それぞれの木の個性を大切に、手間をかけて作るやりかたに脱帽です。

mother toolのデビュー作となった「結婚式の引き出物に使う小さな木のゴミ箱」の依頼は、
山岸工業所のへら絞りとテーブル工房kikiの無垢材とのまさに結婚から生まれています。
それが、bocconcinoです。
アルミという軽くて汚れに強く丈夫な素材から出来ているボディと、様々な表情、重さ、手触り
をもつ樹種から生まれる蓋。
単純な出会いながら、それは一つとして同じものの無い個性を生み出してくれました。
この出会いから、全ての「木とアルミ」シリーズが誕生しているのです。

●参加デザイナー

小泉 誠 Makoto KOIZUMI
http://www.koizumi-studio.jp/
1960年生東京生まれ。デザイナーの原兆英・原成光両氏に師事した後、1990年コイズミスタジオ設立。
箸置きから建築まで生活に関わる全てのデザインを手掛ける。
2003年にデザインを伝える場として東京の国立市に「こいずみ道具店」を開きリアルなデザイン活動を
展開している。

2003年 「デザインの素」出版。
2004年 ギャラリー間展覧会。同時に「と/to」出版。


村澤 一晃
Kazuteru MURASAWA
http://www.murasawadesign.com/
1965年東京生まれ。垂見健三デザイン事務所を経てイタリアへ留学。
90年よりセルジオ カラトローニ デザイン建築事務所勤務。
94年、MURASAWADESIGN設立。現場主義にをテーマに、生産現場との直接的なワークショップを
展開しながらの開発スタイルを実践。
家具を中心とした生活道具全般のデザインを手がけている。