ステンレスとヒノキ
木とアルミシリーズからはじまったmother tool。
木とアルミシリーズではシャープで軽いアルミと様々な樹種を組みあわせ、
樹種の違いによる重さや質感の違いを感じてもらえるシリーズになっています。
この誕生から3年、1本のステンレス線材を曲げてできた洗濯ばさみと出会い、ひと目ぼれしたことからこのプロジェクトがはじまります。
固く重みのあるステンレスを自在に曲げたり切ったりする加工と軽くやわらかい、香りのよいヒノキの素地を活かした加工が出会うことで、木とアルミシリーズとはまた違った表情の道具が出来上がりました。
●つくり手
藤光製作所 栃木県足利市
足利市内にこんなものをつくっているところがあるんですよと、
市役所の方に手渡されたのは1つの洗濯ばさみ。
ステンレスの丸棒1本を複雑に曲げてできた洗濯ばさみにひと目で心を奪われました。
そして早速訪ねたのが、藤光製作所。
通常、洗濯ばさみのようなバネ加工が関わるものバネ屋がつくりますが、
藤光製作所はバネ加工をベースにしながらも板金や溶接といった様々な加工を、
1つから請けている面白い工場です。
オリジナルのサスマタを開発したらい、継ぎ目のない10mもあるバネをつくったり、
多様な加工をしていますが工場に特殊な機械は見当たりません。
昔ながらの汎用機を上手に使い加工に応じた治具や金型なども自社でつくってしまいます。
今回のプロジェクトではカッターの刃物まで小ロットでつくっています。
普通だったら市販品を購入するか型をつくってつくりますが、
できれば必要な分だけ作りたいと一緒に考えました。
藤光製作所のこんなやり方もできるかも?という引き出しの多さに驚きます。
そんなやり取りをしながら一緒にものづくりをしている、知恵と工夫あふれるフットワークの軽い工場です。
新井製材所 岐阜県中津川市付知町
新井製材所のある岐阜県付知は伊勢神宮式年遷宮のご神木の里としても名が知られている、
豊かな木材資源を背景に多くの木工産業がある地域。
特にヒノキを使った落し蓋や枡など食にまつわる木工小物の盛んな産地です。
新井製材所では軽く水に強いヒノキを使って、主に手の平サイズの生活道具を製作しています。
製材所という名のとおり原木の製材加工から製品の製作まで、
製作に使う刃物を保管したり研いだりする部屋なんかもあって、
小さいけれど幅の広い工場です。
機械自体は昔からあるタイプのものですが、アナログな機械が動く姿に感動します。
mother toolが出会う工場は、最先端の技術ではないですが昔ながらの汎用機をうまく使いこなし、
ものづくりをしています。
つくり手の工夫が工場のノウハウになるそんなことを実感しました。
今回のステンレスとヒノキのプロジェクトでは、ヒノキの素地をそのまま活かしています。
どうぞヒノキの軽さとなめらかな質感、香りを感じてください。
●参加デザイナー
村澤 一晃
Kazuteru MURASAWA
http://www.murasawadesign.com/
1965年東京生まれ。垂見健三デザイン事務所を経てイタリアへ留学。
90年よりセルジオ カラトローニ デザイン建築事務所勤務。
94年、MURASAWADESIGN設立。
現場主義にをテーマに、生産現場との直接的なワークショップを展開しながらの開発スタイルを実践。
家具を中心とした生活道具全般のデザインを手がけている。
